しずふぁん!!にライターとして入り、オチャヤプラ取材も経験。
自宅でもお茶を美味しく淹れようと研究に余念がない(?)ライターきゅうです。
お茶の香りが日常に欠かせなくなってきた今日この頃。
先日、ライターいなが取材した茶草葉農法の取材に同行した際、
掛川市役所の方から「茶葉を蒸した時に出る香りを付けたジェル」がある、との情報を聞き付け、
静岡市葵区にある『株式会社アクト・フォ』へ伺いました。
アロマテラピー・エステティック・食育の総合資格取得スクールも経営しながら、
『グリーンブレス』というアロマと、それを使ったジェル『滴香(しずくこう)ふぅわり』を開発。
経済産業省・農林水産省の認定農商工等連携事業として開発された商品なのです。
下段左から3番目が開発者の太田めぐみさん(映像提供アクト・フォ)
開発までのお話を伺いました。
太田さんは茶農家に嫁ぎ農業を手伝う傍ら、
アロマテラピーの専門スクール「アクトインターナショナルスクール」を設立。
お茶工場で薫る茶葉の素晴らしい香りを何とかアロマに出来ないか?と考え、
スクール事業で培った技術を生かし、研究開発に乗り出しました。
今までは緑茶製造の時に出る副産物(蒸気)でしかなかったモノが商品に。
実現すれば、手間暇かけてお茶を育てている茶農家にも貢献できるのではないか!
そんな強い想いが太田さんを突き動かします。
形にするのはとても大変でした。
「独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所」他、様々な機関の協力を得て、
平成23年には経済産業省・農林水産業認定「農商工等連携事業」となり、開発が大きく動き出します。
国の支援のもとでさらに研究開発を重ね3年後、香りの抽出と濃縮に成功。やっと完成したのです。
アクト・フォの太田一也さんに機械の説明をしてもらいました。
緑茶アロマ「グリーンブレス」は茶葉を蒸した時に出る、香りの空気を液体として集めます。
上記写真が(株)寺田製作所と連携して開発した蒸気回収装置です。
茶葉は藤枝市、島田市、掛川市、富士市の茶農家の方々から協力頂き、芳香の蒸気を回収しています。
全ての蒸気を取ってしまうとお茶作りにも支障があるので、そこは微妙な加減があるそうです。
蒸気回収の映像(映像提供アクト・フォ)
蒸気回収は、一番茶、二番茶、秋冬晩茶の3回のみ。それぞれ、2週間ずつ行います。
荒茶製造の際に排出される蒸気を芳香蒸留水として採取。
これを冷却し、独自の方法で香気成分を濃縮していくと「グリーンブレス」になります。
目に見えない「香り」を捕まえられるなんて、本当に不思議です。
滴香ふぅわり。顔にも身体にも使用できる美容ジェル
700ml入り18,900円、100ml入り3,150円(上写真左から)
「すべらず、保湿力が高い」ジェルがベース。
少し付けると、ふんわりとしたお茶の葉の香りに癒されます。
でも、もっともっと茶葉を感じたい!となってしまった私。「グリーンブレス」も試させてもらいました。
ムエット(試香紙)に付けた香りに鼻を近づけると・・・ビックリ!!
目を閉じれば茶工場にいるよう。
包み込まれるような茶葉を蒸したあの香りが、そのまま存在していたのです。
海外では、「グリーンティー」という合成されたアロマが、お茶の香りなのだそう。
本当の茶葉の香りを知ってもらいたいと、
太田さんは2013年6月にフランスで行われた『アロマテラピー薬用植物国際学会』に、
日本企業として初出展。すると、地元新聞にも取り上げられるほど高い評価を受け話題に。
何層にも折り重なる奥深さと、植物の持つ爽やかさ。日本の緑溢れる原風景を想い出す、
どこか清々しい香りの「グリーンブレス」。フランスではアニマル(ベースがしっかりとした複雑な香り)と評されたそうです。
ご主人は茶農家、娘さんは調香師、そしてご自身はアロマスクールを経営。
三拍子揃ったからこそ、必然的にたどり着いたのが「緑茶アロマ」の形だったのですね。
「緑茶で地域を活性化していこう」という熱い想い。
日本が誇る緑茶の香りが、静岡県から世界へ広まる日も近いかもしれません。
※この記事は2013年8月に公開しました
『株式会社アクト・フォ』
所在地:静岡市葵区両替町2-4-15
TEL:054-240-8354
URL:tea- aroma.jp