2013年5月30日「静岡県の茶草場農法」が世界農業遺産に認定されました。
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-世界農業遺産とは?
正式名称は世界重要農業資産システム(GIAHS、ジアス)といい、
伝統的な農業と、農業によって育まれ、維持されてきた、土地利用(ため池、農地、水利施設など)、技術、
文化風習、風景、そしてそれを取り巻く生物多様性の保全を目的に、世界的に重要な地域を
国際連合食糧農業機関(FAO)が認定するもの。
出典:国際連合食料農業機関(FAO)
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富士山の世界文化遺産登録と並ぶ2013年のビッグニュース。静岡大好き。しずふぁん!!では、
掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の4市1町からなる世界農業遺産推進協議会に迫ります。
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世界農業遺産に登録された4市1町の中でも『天空の茶産地』を名乗る川根本町。
何やら壮大な響きのキャッチコピーが、私ライターいなの興味を引きます。
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▲標高617m地点で記念撮影
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川根本町には、標高500m以上の茶畑が多くあることから『天空の茶産地』を名乗っています。
川根本町役場の花房(はなぶさ)室長に案内してもらいます。
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▲登れるの!?急傾斜にある茶畑
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川根本町では、茶の一大優良品種であるやぶきたも栽培されていますが、
晩生型で光沢に富んだ濃い緑の葉色が特徴で、やぶきたよりも赤枯れや裂傷型凍害に強い、
奥光(おくひかり)が奨励されています。
晩生種のため霜害を回避しやすいというのが、山岳地での栽培に適しているのだそう。
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▲冬場は銀世界となることも(写真提供:川根本町役場 産業課 農業室)
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真っ白に染まった茶畑なんて見た事ない。これだけ雪に覆われるのも標高が高い証拠。
写真奥側の山が白く隠れてしまっていますが。実はこれ、霧じゃなく雲なんです。
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▲遮るものは何もない
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「川根(本町)の農家はお茶に特化しています。
派手な観光地もなければレジャー施設があるわけでもないので、お茶には特にこだわっているんです。
美味しい川根茶と美しい景観を合わせて観光資源として売っていきたい。川根本町には何もないからこそ、
手つかずの大自然があるので、是非足をはこんでもらって、美味しいお茶を味わってもらいたいです。」
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花房室長が言う通り、茶畑の脇に立ち目を閉じて耳を澄ますと、
風の音、草木の揺れる音、鳥の鳴き声、虫の羽音など自然の音であふれています。
土や草の匂いがとても心地よく、高所の為か、木々に囲まれている為か、風も涼しく気持ちが良い。
こんな場所で飲むお茶は美味しいに違いない。
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▲更に高い所から見下ろしてみました
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前回、掛川市の茶草場を取材したとき教えてもらった茶草場をおさらい。
茶畑の畝間に敷き詰める、ススキやササを主体とした敷き草を茶草(ちゃぐさ)と言い、
それら敷き草を刈り取る場所を茶草場(ちゃぐさば)と言います。
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写真の青く点滅している部分が茶草場。
川根本町の場合、延々と茶草場が続くわけではなく、茶畑の周辺にのみ点在しています。
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それにしても、高い。遠くの山が霞み、まるで天空の浮島に茶畑が在るかのようです。
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▲茶草を細かく裁断しない(写真提供:川根本町役場 産業課 農業室)
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目的が保温、保水である為、川根本町では茶草を細かくせず、大きいまま畑の畝間に敷き詰めます。
掛川の茶草と比べると一目瞭然。
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▲深刈りした茶木から新芽が
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お茶の樹というのは、毎年新芽ばかり刈り取っていると、次第に枝が細く密集し、葉が小さくなったり、
収穫量が少なくなったりしてしまいます。そうならないように数年に1度丸裸にしてしまうことを深刈りと言います。
こちらは中切りといって、深刈りより浅目に枝葉を落としています。
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刈り取った茶葉や枝は、そのまま畑へ落とされ、微生物が分解して土へ還ります。
枝葉を刈り落とした部分から新しい葉が出て、茶の樹が若返ります。
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▲土を手ですくってみると
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茶草や落ちた茶葉からなる腐葉土。暑い夏には大部分の茶草が分解されていて、
形が残っているのは硬い繊維質の部分が多いですね。
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他市同様、代々受け継がれた伝統農法が茶畑に適した土を作ってきたのです。
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▲川根本町役場 産業課 農業室:花房 則次(はなぶさ のりつぐ)室長
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「茶草場農法は昔から行っていますが、他市と比べると農法に対する姿勢という面では、
川根本町は見劣りするかもしれません。掛川市のように、広範囲に茶草場が続くわけでもありません。
ただお茶の質は、世界緑茶コンテストで2009年・2010年と2年連続で最高金賞に選ばれたほどなので、
自信を持っておすすめできます。これから天空の茶産地ブランドと茶草場ブランドを合わせて、
川根本町のお茶を盛り上げていきたいです。」
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絶景スポットを案内してもらいましたが、そのスポットで、自慢の川根茶を飲めなかったのが少し残念だな。
そうだ、今度は景色を楽しみながらお茶を楽しめるお茶屋を探そう。
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同じ茶草場農法でも、土地ごとに特色が出て面白いですね。
世界農業遺産に登録された、茶草場のことをもっと知りたい。
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茶草場農法を勉強しながら、美味しいお茶をたくさん飲む
今年の目標はこれで決まり!・・・かも?
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『川根本町役場 産業課 農業室』
所在地:榛原郡川根本町上長尾627
TEL:0547-56-2226
URL:http://www.town.kawanehon.shizuoka.jp/
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