三方原ポテトチップスの取材でお会いした、浜松市北区にある酒屋『酒のバオオ』の店主、
大塲康之(おおばやすゆき)さん。
康之さんは酒屋を営む傍ら、絵手紙の個展を開いたり、老人ホームでパフォーマンスをしたりと、様々なことに
挑戦をし、地域を活性化させている面白い店主です。
大塲さんをもっと知りたいと思ったライターげんは、酒のバオオへ向かいました。
よく見ると、ガラスに描かれている向日葵の絵の下には植木鉢が。
まるで植木鉢から顔を出しているかのようです。芸が細かいですね。
某番組では「お面芸人」として取り上げられましたが、お面芸人ではありませんよ!
「これぞマスクメロン!!」とパンチの効いたギャグマスクを着けているのが康之さんです。
既にこの時点で、面白いオーラを感じます。
「昔から人を笑わせるのが好きでした。中学生の時は、先生の似顔絵を描いた紙を授業中に回したりして、
クラスの皆がクスクス笑うのを見ているのが面白かったですね。」
よくやりますよね、それ!
そして、見つかって叱られるというオチが定番でした。
ある時、知り合いから譲り受けた1冊の詩画集が康之さんにショックを与えました。
その詩画集とは、『やっぱいっしょがええなぁ』(大野勝彦・作)。
農作業中に両腕を切断する事故にあった作者が、義手を用いてメッセージを力強い絵と文で表現し、
まとめたものです。
「優しくて、それでいて力強い想いをその本から感じて、これは自分もやらなきゃ!と感じました。」
絵を学んだことも、描いたこともなかった康之さん。
それからの2年間、大野さんの絵をひたすら模写し続けました。
▲ 似ていると笑われてしまいました
「自分のやっていることは、いつまで経ってもマネじゃん!と、ある時ふと気がつきました。」
オリジナルを作らなければと感じた康之さんは、そこから毎日1枚ずつ絵手紙を描くようになります。
善は急げ、地元のギャラリーで個展を開こうと、1年先に予約。
大野さんの美術館へ行き、実際に会ってアドバイスを受けるなど、徹底的です。
個展の名前は『遊びの個展』。
名前の通り、康之さんの遊び心が詰まった個展です。
毎年1回、地元のギャラリーで開かれており、回を重ねるにつれて来場者も増えています。
「お客さんからもらう一言がとても嬉しい。人と人のつながりっていいなぁって思います。」と康之さん。
▲ さかなクン、尾崎紀世彦、北島三郎、和田アキ子、綾小路きみまろ、美空ひばり、スギちゃん
(上段左から時計回り)
絵手紙のほかにも、似顔絵お面も作っています。
お面の口が開いたり、髪が伸びたりと、人を面白がらせるのが好きな康之さんらしい仕掛けが仕組まれています。
「ちょっと待ってて!」
和田アキ子のお面を持って、席を外す康之さん。
いったい何が始まるのでしょうか・・・?
衣装に隠れていますが、紐を括り付けたケースを履き、パッコパッコと音を鳴らせながら登場した康之さん。
腕をぶんぶん振り回し、ユニークな動きを見せるアッコさんに、思わず爆笑。
もともとお客さんだったフルート演奏者の人と、康之さんの子どもがお世話になっていたピアノの先生とチームを
組み、フルートとピアノとお笑いのグループ『ちびくろさんぼん』を結成。
毎年、地元の学校や老人ホームを回り、演奏やお笑いで、見る人を楽しませています。
▲ 地元の幼稚園で (写真提供:大塲康之 さん)
「喜んでもらいたい、笑ってもらいたいっていうのが根幹にあります。人がにっこり笑っているのを見るのが
好きだから、そのためなら何をやっても、何の恥ずかしさも感じませんよ。」
地元の学校や老人ホームから、絵手紙の講師やお楽しみ会の出演者として呼ばれ、引っ張りだこの康之さん。
本業の酒屋でも、人に喜んでもらおうと色々なことに取り組んでいます。
世界にたった1本だけのオリジナル似顔絵ラベル。
注文を受けると、康之さんが真心こめて描いてくれます。
「お客さんの喜び度、満足度で日本一の作り手になりたいです。」と康之さん。
「手渡ししてもらって、渡すお客さんに喜んでもらいたい、主人はこう思う人で、何日も頭を悩ませて
苦労して描いている時があるんですよ。」と、後でこっそり峰子さんに教えてもらいました。
自分の顔と前向きなメッセージが描かれた、世界に1つだけのお酒。
もらったら嬉しいこと間違いなしですね。
酒のバオオは夫婦で経営している酒屋です。
「自分が居て楽しいお店ですよ。」と峰子さん。
「また来たいなと思ってくれるような、人を楽しませるお店作りをしていきたいです。」と康之さん。
そんな康之さんに夢を聞いてみました。
「浜名湖畔に、楽しさいっぱいの素直な国の美術館という名の美術館をいつか建てたいと思っています。
皆がそこに来ると素直になれる、元気になれる、そんな空間作りを目指していきたいです。」
人生を最高に楽しむ考え方。
「今日がいちばん 今が最高!!」
・・・・・・人生楽しいことだらけ!
(大塲康之『大塲康之絵手紙詩画集』より)
1日1日を前向きに、1つ1つの出会いを大切に過ごしていきたいですね。
※この記事は2013年8月に公開しました
『酒のバオオ』
所在地 : 浜松市北区三方原町61-2
連絡先 : 053-439-5877
定休日 : 木曜日
営業時間 : 9:00~21:00
駐車場 : 店舗前
URL : http://www.nb-n.co.jp/~baoo/