2000年以上の歴史があると言われている静岡浅間神社(しずおかせんげんじんじゃ)。
敷地内にある7つの神社に残されている文献が多すぎて、
一説によれば2000年よりもっと古い歴史があるとも言われている。
ああ、なんという歴史ロマン。
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静岡市葵区の『静岡浅間通り商店街』は、そんな静岡浅間神社の目の前にある商店街。
定期的にイベント『浅間通り歴史探訪ツアー“ぶら門前”ツアー』を開催。商店街の店主たちが語り部になり、
商店街の歴史を紹介しています。
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ロマンを追いかける男、私ライターいなは、次のツアーが待ちきれず、
単独で商店街の歴史を探ってみることにしました。
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▲静岡浅間神社からスタートです
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静岡浅間通り商店街と言えば、どらやきの『河内屋』、ミニチュアカーの『EBBRO Gallery(エブロ ギャラリー)』、
静岡おでん『おがわ』、マグロトロテリヤキドッグの『日本料理 うおかね』としずふぁん!!とも浅からぬ関係にある商店街。
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▲雑多に積み上げられた本が懐かしい、昔ながらの古書店
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静岡浅間通り商店街にしずふぁん!!の新しい歴史を刻むため、
まずは『あべの古書店』へやってきました。
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▲あべの古書店:鈴木さん
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トップバッターは、浅間通り歴史探訪ツアー“ぶら門前”のガイドとして、商店街の昔話をしてくれる鈴木さん。
フリーマガジンに掲載されている鈴木さんの写真と、髪型が全然違うことに驚きましたが・・・。
古書店の経営と同時に音楽活動や舞台活動をされているそうで、普段はずっとこの髪型のようです。
ガイドをしているという事は、歴史が元々好きなんでしょうか。
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「舞台なんかの仕事をしていると、司会やラジオなんかの喋る仕事をよく依頼されるんです。
ぶら門前もその一環なんですけど、そういった仕事の中で歴史について知らなきゃいけない事があって、
店にはよく歴史が専門の大学教授や在野の郷土史家が来たりして教えてくれます。
歴史が特に好きということでもないのですが(笑)」
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そう話す鈴木さんの明るい口調は、とても楽しそう。
喋る事が本当に好きなんだなぁ。少し言葉を交わしただけでも鈴木さんの話に引き込まれます。
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「歴史探訪っていっても、浅間通りに残っている史跡はごくわずかで、ほとんどはすでに失われているんです。
ツアーでは商店街の通りで突然立ち止まって、実はこの道の下には埋まってしまって見えない川が流れているとか
ここのお店のご主人はこういう事を昔からやっているとか、みんなが楽しめるように話をしています。」
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ツアーに限らず、話好きな店主の多い静岡浅間通り商店街では、
お客さんとのコミュニケーションにも重点を置いているそうです。
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▲静岡県の古書店にはお宝が眠っている
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「これは、葛飾北斎が富嶽三十六景を描く際に参考にしたと言われている、百富士っていう本なんですよ。
全4巻あって、すべて揃っています。」
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と鈴木さんが見せてくれたのは、つい先日世界遺産に登録された富士山を様々な角度から描いた本。
初刷本ではなく後刷のようですが、図書館でも実物を見ることは難しい稀少貴重な版本です。
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▲開いてみると三保の松原も
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「三保の松原の景観というと、現代では三保半島の駿河湾側と富士山がセットだと考え
られていますが、この本の時代には三保湾と富士山がセットになっています。」
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▲地図で確認してみよう
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ということは地図で見ると、現在では青矢印の景色として認識されている三保の松原が、
富士百景では赤矢印の景色で描かれているということか。これは面白いです。
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「静岡の古書店には、こういった貴重な本がまだまだ眠っているはずですよ。
そういえば、葵煎餅本家の海野さんには会いましたか?バイク好きな人でねぇ、面白い話が聞けるんじゃないかな。」
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▲門前町に煎餅はつきもの
社長がバイク好き!これは聞き捨てなりません。
次の目的地は『葵煎餅本家』に決定です。
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▲葵煎餅本家:海野(うんの)社長
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三ツ葉葵が焼き印された煎餅が代表的なこちらのお店。
バイクが大好きな5代目の海野社長に話を聞きました。
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「葵せんべいは三ツ葉葵の紋が入っていますが、何か徳川家と関係があるんですか?」
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「先先代が久能山東照宮と縁があったんですけど、16代か、17代将軍だったかは定かではないんですが、
その方たちが来静する際にお土産として出したらいいんじゃないかという事で、三ツ葉葵を入れることになったんです。」
と海野社長。
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▲国宝久能山東照宮にも奉納される「葵せんべい」(1袋300円)
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以前は店の敷地内で煎餅を焼いていたそうですが、区画整理で少し店が小さくなってしまったのを機に、
現在は別に工場を構え、そちらで焼います。
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元々バイクのメカニックをしていたという海野社長のアイディアで、伝統の味を守りながら、
生地にお茶を混ぜたり、コーヒーを混ぜたりと色んなバリエーションの煎餅を作っています。
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▲試食をさせてもらいました。
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パリっとした歯ごたえと、噛めば噛むほど感じられる香ばしい味わい。
お茶と一緒に食べたら、もっと美味しいだろうなぁ。
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午前中は煎餅を焼いていたという海野社長、年に1度静岡浅間通り商店街で行われている
日タイ友好長政(ながまさ)まつりの実行委員長でもあります。
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「元々は普通のお祭りだったんですが、私が実行委員長をするようになってから、
山田長政とゆかりのあるタイから、プロのダンサーを呼んだり、タイのタクシーとして有名な、
トゥクトゥクを日本中から集めて、展示や試乗会をしたりしています。
本当はあまり実行委員長なんてやりたくないんですけど、私が(祭のスタイルを)変えすぎちゃって
誰もやりたがらなくなってしまいました(笑)」と海野社長。
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お話にあったタイダンスやトゥクトゥク以外にもムエタイの選手を呼んだりなど、直接タイの大使館や本国へ出向いて
交渉して、タイ政府が予算まで組んで協力してくれているそうです。
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直接他国とコラボレーションしている祭とは。
日タイ友好長政まつりは10月に開催予定。これは楽しみです。
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しかし楽しみと言えば…。
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▲まさか、またがらせてもらえるなんて…感激だ
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バイク好きの社長にバイクを見せてもらわずには帰れない。歴史には関係ありませんが。
「社長、バイク見せてもらえませんか?」と思い切って聞いてみると、わざわざ自宅から持ってきてくれました。
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細かく書くと、とんでもなく長くなるくらい手が入れてあるKAWASAKI『ゼファー1100』。
エンジンくらいしか原型が残っていません。めちゃめちゃバイク好きじゃないですか海野社長。
今度一緒にツーリングしましょう!
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「商店街の歴史を巡るなら、フルーツショップ森友さんは行きましたか?
あそこが一番古い写真なんかもあるので、是非行ってみて下さい。」
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海野社長の紹介で次の目的地が決まりました。
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▲山田長政像
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葵煎餅本家を出て、海野社長に紹介された『フルーツショップ森友』へ向かっている途中で発見。
ちょっと怖そうな顔と対照的な襟巻がキュートです。
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買い物だけじゃなく、歴史まで楽しめる浅間通り商店街。
次はどんな話が聞けるのかな。商店街店主の皆さんの歴史語りにハマっちゃいそうです。(後編に続く)
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※次回静岡浅間通り商店街ぶら門前ツアーは2013年9月28日(土)開催予定です。
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、※この記事は2013年8月に公開しました
『静岡浅間通り商店街 振興組合』 (ツアーの問合先)
所在地:静岡市葵区馬場町87-1
TEL:054-253-0721
URL:http://www.siz-sba.or.jp/sengen/
『あべの古書店』
所在地:静岡市葵区馬場町92
TEL:054-251-3289
営業時間:12:00~21:00
定休日:不定休
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『葵煎餅本家』
所在地:静岡市葵区馬場町20
TEL:054-252-6260
営業時間:9:00~19:00 ※水曜日:9:00~17:30
定休日:年中無休
URL:http://www.aoisenbei.com/
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『夢門前ぶらりあんのブログ』
URL:http://burari15.eshizuoka.jp/
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