幼稚園生の頃から祖母に教えてもらったはずなのに、料理はあまり得意ではないライターきゅうです。
あっ!りんごの皮剥きなら自信があります!
天竜川の清流ながれる、風光明媚な地で鍛冶屋さんを営んでいる人がいるとの情報をキャッチ。
早速、浜松市天竜区にある「片桐鍛冶店」にやってきましたよ~。
山間に立ち並ぶ、住宅の一角からトンテントンテン…という音がしてきました。
「片桐鍛冶店」の看板を発見!お邪魔してみましょう。
こんにちは~!と、お店に足を踏み入れると…
仕事の真っ最中。正に、町の鍛冶屋さんです。
力強くハンマーを振り下ろして叩くと、周りに火花が散り、左手の赤い塊が伸びていきます。
「ハゼ包丁(ハゼを捌くための出刃包丁)を作っているんだよ。」と、片桐さん。
お聞きすると、私が来るまでの間に3丁ほど仕上げたんですって。
鍛冶とは金属を鍛錬して製品を製造すること。片桐さんのお父さんが(旧)川根町で修行した後、
この天竜区佐久間町で鍛冶屋の仕事を始めました。
当時は天竜地区の山林で仕事をする人も多く、町内にも鍛冶屋さんが数軒あったそうです。
片桐さん自身は国民学校高等科を卒業後、父親の仕事を一緒に手伝い、67年間この仕事を続けています。
82歳には見えない若さ。まだまだ現役の鍛冶職人です。
「鋼付けには自身があるよ!これが上手くいってないと良い物にならないよ。
(鋼と鉄を)付けるところが鍛冶屋の商売。」
ハガネツケ???
どんな作業でしょう。鋼と鉄を付ける作業を見せていただきましたよ!
鋼付けのやり方を見せていただきました。
刃になる部分の鉄の上に、鉄粉などを混ぜた接合剤をかけ鋼を乗せます。
加熱して叩いて鍛えると丈夫になる特性の鋼。鉄と鋼を付けて刃にすることで、
丈夫な、鋭い切れ味のよい刃を作ります。
細かい石のような物はコークス、石炭を主成分とした燃料。
ファンの送風機から風がコークスの脇へ出ていて、1,000℃ほどの火力を保っています。
コークスの中へ鋼を乗せた鉄を入れ、赤くなるまで待ちます。
動きに無駄のない熟練の技
十数回ハンマーで叩いたら、くるっと横を向いて、機械でも叩き、
火に塊をくべて、数十秒。またハンマーで叩いて、機械で叩いてを数回繰り返します。
何度も繰り返し、鉄と鋼が付いて強い素材になります。
「俺は生まれた時から鍛冶屋の子だったからね。」と片桐さん。
幼いころから父親の技を見て、叩き鍛える加減も体で覚えているんですね。
機械のハンマーは叩く加減を足で自在に操作できます。
「この機械がなければ、お嫁さんが来なかったよ!」なんて、冗談を言ってらっしゃいましたが、
片桐さんが結婚する前に購入したもの。奥様になる人に苦労はかけまいと、購入したのだそうです。素敵なお話です。
この石で荒研ぎしてから、目の細かい石でもう一度研いで、完成に至ります。
丸に久という文字が片桐鍛冶店のマーク。これはお父様の名前が久太郎さんだったから。
天竜植林の父と言われた、金原明善(きんぱらめいぜん)の支持で考えたられた、
伝統的な「金原鎌」から今のニーズにあったカマ(上写真)、クワや包丁なども作る片桐さん。
県外からわざわざ訪ねてくる人や料理人、産業祭などで購入した人から注文が来ることも。
取材中にお客様が来店。
「丈夫で使いやすいよ~!」 とおっしゃって、帰っていきましたよ。
丁寧に仕上げられ、包丁は切れ味抜群。ナタとノコギリは鞘に収まって、腰に巻けるように工夫されています。
朝から毎日、鍛冶仕事をしている片桐さん。
林業や農業をする地域の人たちを支えている鍛冶屋さんなんですね。
これからも農協祭や産業祭にも精力的に出店していきたいそう。
使った人がリピートして訪ねてきてくれる事もあり、うれしいそうです。
私も包丁を1丁購入。「自分でちゃんと研ぐんだよ。」
頑張って、研ぐのを練習します!って、包丁を使いこなせるように料理をもっと勉強しなくちゃ。
※この記事は2013年12月に公開しました
『片桐鍛冶店』
所在地:浜松市天竜区佐久間町大井2444-4
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TEL:053-964-0146
定休日:土・日・祝日
営業時間:10:00~17:00