浜松市といえば、楽器。それならばぜひ楽器のまち・浜松市ならではの職人さんに会いたい!!と、
始まったライターきゅうの個人企画・第2回目。前回は「フルートマスターズ」さんを取材。
今回は打楽器を製作している現場を見てみたい!ということでドラム製作の職人さんに会ってきましたよ~。
南区にあるオーダーメイドドラム製作の店「ネギドラム」 。
店と工場が一体になった店舗で、ドラムレッスンスタジオも完備しています。
創業は昭和37年(1962年)。楽器メーカーで輸入や仲介の仕事をしていた先代社長が、
ドラム作りに興味を持って、製造を始めたのがきっかけ。始めは東京のメッキ工場を借りてスネアドラム※を製造。
その後、浜松市に移り、子どもが使うマーチングドラムや太鼓、コンサートドラムなど、
教育楽器も手がけるようになりました。
※スネアドラム・・・サイドドラムとも呼ばれ、ドラムセットの重要な構成楽器。吹奏楽やオーケストラでも用いられる。
社長の根木さんにお話を伺いました。
並べてあるモノからお客様が選ぶのではなく、お客様の頭の中にある音を形にする。と根木さん。
楽器店では自分が欲しい音が見つからない!という人が県外からも多く来店するのだとか。
「まずは言葉で依頼者が欲しい音を探します。無駄話を含めて、スネアドラムなら2~4時間。
ドラムセットとなると7時間ぐらいは話さないと。依頼者と音の共感をもたないと作れない。」と根木さん。
丁寧な音作りにかける情熱。ビックリしました。
ドラムは構成する全ての素材や加工法によって、音が変わってくるそう。
シェル(胴体部分)やヘッド(叩く部分)、金具、スネアドラムの裏に張ってある「響き線」(上写真)1つを取っても、
様々な素材があり、叩いた時の音色が変わってきます。
無限の組み合わせの中からそれぞれ組み合わせ、依頼者の音に近づけていく。
ドラムを知り尽くした根木さんにしかできない作業です。
コレはいったい何でしょう?小さな丸い筒がいっぱい並んでいます。
正解はマーチングドラムのシェル(胴体)部分。
型に木をはめて3時間ほど置き、丸い形にし、ヘッドを張る部分を削っていく作業。
粗いヤスリから細かいヤスリに変えながら、何段階も削ります。その加減は経験。絶妙な見極めが要求されます。
塗装後、ヘッドを張っていきます。全ての工程が手作業なんですね。
ドラムを依頼してくる人はカラーにもこだわりを持っています。カラーを決めるのに一番時間がかかります。
意外にも、派手な塗装を年配の方が好み、地味な塗装は若い方は好むんですって。おもしろいですね。
ロゴによって、ジャズドラムやロックドラムといったイメージを持たせないように、
ネギドラムのロゴは、シンプルな字体にしています。
昔のロゴも要望があれば付けてもらえるそうですよ。(上写真下)
レトロなロゴは、創立当初に使っていたもの。こちらも味があってステキですね。
ドラマー気分を味わいましたよ~!
オリジナルで組まれたドラムセットは何だか神々しくて、座るのも恐る恐る。
手と足が別々の動きをしながらリズムを刻んで…なんて私には到底無理ですが、
「トントン、バリバリ、ドンドンというイメージで音が鳴りますよ。叩いてみて下さい。」と根木さんに言われ、
叩いてみると…正にその通りの音色。情景や色が浮かんでくるような意志を持った音なんです。
ドラムをリズムマシーンと捉えるか、音楽の雰囲気を作るダイナミクスと捉えるかでも、
ドラムの音作りは変わってくるそうです。
下のシェルを締めたりたり、ゆるめたり。これだけで全然ちがう音色になります
依頼者を満足させる音作り。
その魅力を感じて、ミュージシャン「風味堂」さんやニューヨークで活躍するジャズドラマー、田井中福司さんも
ネギドラムのドラムセットを愛用しています。
根木さんにこれからどんな音を作っていきたいですか?と尋ねると
「音にこだわりを持たない事です。依頼者の欲しい音、
そして依頼者も気付いてない部分で欲している音を見つける。」
根木さんのお話を聞いていると、ドラムが生き物みたいに感じてきます。
何だかドラムを習ってみたくなってきました。誰か教えてくれる人いませんか~?
※この記事は2013年12月に公開しました
『株式会社 ネギドラム』
所在地:浜松市南区米津町979
大きな地図で見る
TEL:053-441-2831
定休日:土・日・祝日
営業時間:10:00~17:00
E-mail:http://www.ndsg.co.jp/