子どもの頃、移動販売している豆腐屋のおっちゃんと仲良くなって、来る度にどうでもいいような話を
聞いてもらっていた、ライターげんです。
最近、豆腐や納豆を食べなくなったなぁ・・・と感じていたところ、浜松市北区に豆腐屋さんが作る本格豆腐
料理を食べることができる店がオープンしたという情報を得て、早速行って来ました。
▲ 分かる人には分かる、幸福の黄色いハンカチが目印
店の名前は、『川辺の食卓 都田(みやこだ)のとうふ 勘四郎』。
「川辺の食卓」と言うだけあって、辺りは静かで、目の前は都田川がサラサラと流れています。
店を運営するのは明治10年に創業したという、都田の老舗の豆腐屋さん『須部(すべ)商店』。
豆腐屋さんが提供する本格豆腐料理ということで、既にワクワクモード。
「はい、店舗のすぐ近くに工場があり、そこで豆腐を作っております。普段、食卓ではサブ料理として出てくる豆腐
ですが、僕らからすればメインの料理になるわけです!豆腐屋だからこそできる、ここでしか食べられない出来立て
のおいしい豆腐を皆さんに食べてもらえればと思っております。」
どんな風に、おいしい豆腐が作られているのか、見学させてもらいました!
▲ 豆腐はどうやって作られる?
「豆腐はシンプルな作り方だけに、バランスを崩すとすぐに崩れてしまう繊細さを持っています。例えば、大豆を
水に付けた後に圧力釜で煮るのですが、釜の温度が1度違うだけで、まったく別の品物が出来てしまうんです。」
豆腐作りって、予想以上に気を遣う作業なんですね。
圧力釜で大豆を煮た後は、水分を絞っていきます。
この時にできるのが「おから」です。
これだけで温かいご飯が何杯もいけちゃいますよね!
大豆を絞り切った後は、にがり(凝固剤)を入れて固めるのですが、ここが腕の見せ所。
「大豆、水(南アルプス産の地下水を使用)、にがりの配合のバランスですね、後は大豆とにがりを打つタイミング、
これがなかなか気を遣います。先ほども言ったように工程がシンプルだからこそ、ここで豆腐の深みに差が付く
わけなんです。」
その後できたものを均質に混ぜ合わせて固めると、大きな豆腐のできあがり!(上写真)
これをカットして、均一のサイズにしていきます。
この後は安全性を上げるために、さらに加熱殺菌をし、しっかり冷やした後で出荷されます。
「豆腐屋だから、豆腐はおいしくて当たり前だと思っています。さらに安全性に気を配るため、
5S活動(清潔・整理・整頓・清掃・しつけ)を徹底しています。当たり前のことなんですけれど、
だからこそ徹底しなければならない、そんな思いで豆腐を作っています。」
工場入口に貼られているのは、スタッフ全員の「今年の目標」。
5S活動を実践するために、具体的な対策がどれも事細かに書かれていました。
▲ 油の音がたまらない!
工場の2階では、1枚1枚の油揚げが丁寧に揚げられている真っ最中!
ジュワジュワジュワという気持ちのいい油の音に、お腹がグー。
すると、須部さんが「良かったら食べてみる?」とニヤリ。
「いただけますか?!」と思わず声が上ずってしまいました。
パクリと食べると、ホクホクの衣にギューッと詰まった中の豆腐が予想以上にボリューミー。
「これなんですよね、この出来立てのおいしさを、あの店では食べることができるんですよ!」と須部さん。
なるほど、しかし、もう我慢の限界!・・・ということで、店に戻って来ました。
「もともと月に1回、豆腐まつりという出来立ての豆腐を販売するイベントをこの場所でやっていたのですが、
いずれは店としておいしい豆腐を使った豆腐料理を提供したいという気持ちがありました。工場も傍にあるので、
これを使わない手はないだろうという感じで。もともと小売りのノウハウがウチには無かったので、開店に至るまでは
全国各地へ視察に行ったり、色んな方からアドバイスをもらったりで、とにかくてんてこ舞いでした。」と笑う須部さん。
ゆったりと食事を楽しめるように、席の配置も工夫。
お子様用の椅子はもちろん、赤ちゃん連れにも嬉しいベビーベッド、車椅子の人も安心して食べられるように
高さ調整ができるテーブル等も完備。
「気軽に入れて落ち着いて食事を楽しむことができる店を目指しています。色んな人達においしい豆腐を食べに
来てもらいたいと思っているので、できる限り、お客さんの要望をどんどん取り入れております。」
そして、来ました、来ましたよ!
出来立ての豆腐に、味噌汁、酢の物、季節の野菜、そしてデザートの豆腐の白玉、おからのお茶。
料理に使われている野菜や調味料の殆どは地元産という、須部さんオススメの『できたて寄せ豆腐御膳』です。
豆腐を食べてみると、さすが出来立て、プリップリ!
ネギとだしつゆをたっぷりかけてかきこみます。うめー!
デザートの豆腐でできた白玉も、もっちもち。
風味がとても良くて、「あぁ、食べたな」という気持ちにさせてくれます。
▲ 須部さんが食べている『ゆば丼』もおいしそう!
須部さん自身、ほぼ毎日この店に来ては味をチェックしているという徹底ぶり。
「色んな方に豆腐の1番おいしいところを食べてもらいたい、それで気持ちよく帰ってもらえればと思っています。
この都田に来て、僕らのことも知ってもらえたらというのと、都田を好きになってもらえたらという思いで、これからも
お店作りをしていきます!ぜひ1度ご来店していただければと思っております。」
ちなみに、店には「豆腐かりんとう」、「豆腐のコロッケ」、「豆腐の石鹸」など、たくさんの豆腐グッズや地元の特産品
があるんですよ。
休憩がてら、また寄ってみようかな!
※この記事は2014年2月に公開しました
『川辺の食卓 都田のとうふ 勘四郎』
所在地 : 浜松市北区都田町6531
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TEL : 053-428-7667
定休日 : 木曜日
営業時間 : 10:00~17:00
※ ランチタイムは、11:30~14:30(ラストオーダーは、14:00)
駐車場 : 30台(無料)