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バッハの時代の音色、チェンバロの調べ 

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浜松市といえば、楽器。それならばぜひ楽器のまち・浜松市ならではの職人さんに会いたい!!と、
始まったライターきゅうオリジナル企画の第3回目。どんな職人さんと出会えるのでしょうか?

企画第1回目は木管楽器のフルートマスターズ、第2回目は打楽器のネギドラムを取材。
今回は鍵盤楽器でもある古典楽器チェンバロを手作りで製作している会社があると聞き、
東区にある『三創楽器製作所』にお邪魔してきましたよ~。

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社長の富田さんと製作者の岩上さん (左から)

お2人の後ろにあるのがチェンバロなんですね!2段の鍵盤とその色に驚きました。
エレクトーンのような形状。聞いてみると、特にチェンバロの形には規定はなくデザインも多様なんだとか。

三創楽器製作所」は先代の社長が1985年に東海楽器製造という会社からチェンバロ部門を独立させ創業。
すべての工程を手作りで古典楽器チェンバロやライアー(竪琴)、大正琴の製作を手掛けています。
材料である木材の調達から加工、完成まで一貫製造してるんです。

チェンバロは14世紀末から15世紀初頭にヨーロッパで発明され、17世紀まで盛んに作られた楽器。
ピアノは18世紀になってから盛んに作られてきた楽器。実は、チェンバロの歴史はピアノより長いんです。
でも、チェンバロって「音楽の教科書」でしか見たことがないって人、多くないでしょうか。私もその1人です。

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クラシカルな出で立ち

ピアノに似た楽器」と思っていたので、第一印象は意外に小ぶり。
鍵盤は黒鍵と白鍵がピアノと逆なのも何だか新鮮。色も形も、様々あるそう。
上写真のチェンバロは朱赤を使って、何だか日本の漆器のような雰囲気もあります。

「17世紀頃のフランスなどでは東洋の文化が流行ったりしてたので、当時は当時は中国や
日本風な色使いや装飾を施したチェンバロもあったんですよ。」と、岩上さん。

ヨーロッパで作られていた楽器なのに、日本を感じられるなんて不思議な感じがします。

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寝かせ中の木材

チェンバロに使う木材は購入してからこの様に切り分け、3年以上は寝かせます。(上写真)
充分に乾燥させる事によって、楽器になった時の反りを防ぎます。
また、木材を寝かせる事で音の響きも良くなるのです。

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なんだか製材所の様です

工房を案内してもらいましたよ。どんな小さな木材の部品も手作り。全てがここで作られているんです。

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型も手作り

何もかも1から作っています。
流線型の部品の穴を同じ位置に開けるため、木の型から作製しているんですよ!

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チェンバロの設計図

チェンバロが作られていた当時の設計図などをフランスやドイツなどから取り寄せ、
それを元に岩上さんが書いた設計図。

オリジナルのチェンバロの鍵盤は種々雑多なものが多いため、三創楽器製作所が作るものは、
現代の演奏する人のために鍵盤幅を統一し、それに合わせて全体の設計も、し直しています。

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入社4年目の山川さん

弦を弾く部品を差し込む部分を作製中。リズムよく部品を削っていきます。
手作りで全てを仕上げるのが魅力」と言う、山川さん。
将来は1人で1台のチェンバロを作るのが夢だそうです。

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これを作ってたんですね

山川さんが削っていたのは弦を弾くための「爪」を差し込みむ部分。1本1本差し込んで、弦を張ります。

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弦を弾く爪

チェンバロは弦を弾いて奏でる「撥弦楽器(はつげんがっき)」。
ピアノは弦を叩いて音を奏でる「打弦楽器(だげんがっき)」。姿が似ていても違いがあるんです。

これが弦を弾く樹脂の爪(上写真)何とこの小さな爪を手作業で削って仕上げます。
0.3mm~0.5mmに仕上げる神業。

爪の厚みを調節することで、音の大きさや音色が変わります。岩上さんはこれを鍵盤分作るんです!
気が遠くなるような作業です。

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弾けるようになりた~い!

なんと、珠玉のチェンバロをちょっとだけ弾かせてもらいましたよ~。
作業の繊細さを目の当たりにして、感動したその勢いで、名曲(迷曲)を…?!

「水の音、風の音など自然の音に近いんだと思うんです。」と岩上さん。
1音奏でるだけで、周りの情景が変わるよう。ピアノのように空気に余韻の残る音もいいですが、
チェンバロは空気に溶け込んでいくような素朴な音。
鍵盤も木(黒檀)で出来ていて、指に当たる感触も柔らかなんです。

社員の水野さんに弾いていただきました(上動画)

私の十八番、「猫ふんじゃった」では申し訳ないので、ワンフレーズ演奏をお願いしました。
曲はカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」。
とても耳に優しい心地よい音色!
いつまでも聴いていたくなります。

 

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無垢のヒノキの木肌が美しい

天竜区春野産のヒノキで作ったチェンバロもあります。どんな音がするんだろう。木のぬくもりが漂います。
透かしや装飾は、岩上さんのデザイン。こちらは持ち運びもできるそうです。

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社員の皆さんに集まっていただきました

富田さんや岩上さんは「チェンバロがもっと普及してほしい」との想いから、
小型のチェンバロや、持ち運びが出来きるチェンバロも製作しています。

「クラッシックをやっている人が古典音楽をやる時に、
ピアノではなくその当時(16~17世紀頃)の楽譜に書かれていた楽器・チェンバロでやりたいという人もいる。
そんな時に手にしやすくなるようにしたいです。また、チェンバロは貴族がサロンで聴いていた楽器。
それほど大きい音を必要としないんです。ピアノよりも音が静かでしかもコンパクト。
一般の人が家で弾くのにも良いと思います。」

古典楽器の響きをこれからも多くの人に親しんでもらいたい。そんな想いが伝わってきます。
希望すれば、製作所内の見学もできるそう。癒やしの音色、聴いたらきっと弾いてみたくなるかも。

 

 

※この記事は2014年1月に公開しました

『株式会社 三創楽器製作所』
所在地:浜松市東区北島町789

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TEL: 053-421-5677
定休日:土・日・祝日

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