皆さん、印鑑は何本持っていますか?私は三文判2本、シャチハタ2本、銀行印1本を持っています。
あれ?意外と沢山持っていた!でも、最近は100円ショップなどにも売っていて、
ハンコ屋さんに行く機会ってあまりないかも。どうやってデザインされ作られているのかな?
先日取材先で出会った印鑑の文字があまりに優美な事に驚いた私、ライターきゅう。
早速、浜松市北区にある「印の大曽堂(たいそうどう)」を早速訪ねてみましたよ~。
店主の田中さんはハンコ屋さんになる前はシステムエンジニアとして、様々なシステムの構築をする仕事をしていたそう。
ある時、目に見えないモノづくりから目に見えるモノづくりをしたくなったという田中さん。
ふと考えると、家業であるハンコ作りは、まさに目に見える「モノづくり」、ではないか?と気付きその道に進む事をを決心しました。
この業界に入ると職人さんが作る色々なハンコの文字を目にするようになり、ある日出会ったハンコの文字を見て、衝撃を受けました。
細身の優美な文字でひと目で弟子になりたいと思ったそう。
それが師匠である長束有峰(ながつかゆうほう)氏でした。
「愛知の名工」にも選ばれている師匠。田中さんは最後のお弟子さん。
「兄弟子達が師匠にハンコを1本見てもらうところを5本作って持っていって見てもらってましたよ。」
5年間毎日愛知まで通い、その技を習得したのだとか。
今でもハンコの文字に迷ったりした時には、相談に行きます。
左側が篆刻(てんこく)用の印刀、右側が印鑑用の印刀。
自分で研いで仕上げます。切れ味良さそう~!
印鑑用の印刀は竹ではさみ、籐で巻いて自分の持ちやすいようにグリップを作るのだそう。
※篆刻…篆書(てんしょ)という漢字の元となった書体を印に彫ること
仕上げに進むほどに鋭い刃先のものを使います。
彫刻刀しか持ったことのない私。刃を寝かせて使うのかと思いきや、立てて先の部分を使います。
印鑑作りはまず、印の文字のデッサンから。1つの印を作るにも、何点か文字のデザインを考え、絞り込みます。
その時、誰にでも読みやすい正しい文字で作る事を念頭に置いています。また、使う文字の由来を考えながら、
お客様の名前の画数を見て、外枠と接する位置とその接点数を決め、
一文字一文字の中心(へそ)を見極めながら「優雅に」レイアウトします。
田中さんの印の文字は細いけれども芯のある、優美な文字。
真っ直ぐな文字もしなやかな丸みを持たせ、周りの枠との接点の具合いを見ながらデザインを行うそうです。
とても細い文字。失敗することないのかな?
「失敗することもごくたまにありますよ。その時は最初からやり直しなので、失敗しないように集中できる
シーンと静まり返った夜中によく彫ってます。」
篆刻もする田中さん。教えてもらいながら、篆刻に挑戦。
青田石(せいでんせき)に文字を彫らせてもらいます、ドキドキです。
何て文字か分かりますか?
ライターきゅうの「九」の文字。ちょっと周りの枠がかすれた感じは、田中さんがワザと付けてくれました。
何に押そうかな~楽しみ!と思っていたら…
田中さんが、しずふぁん!!の落款を作っておいてくれたんです!ハートが何ともキュートで素敵~。
ライターみんなで使わせていただきます!アレにもコレにも押してしまいそうです。
瓦當文(がとうもん)を模写して彫ったもの。昔の文字を彫ることで、勉強になるのだそうです。
朱肉は練り顔料で、中国の印泥(いんでい)を使っています。
※瓦當文…昔の中国の瓦に施された家紋や模様など
印鑑と落款を両方手がける人は少ないそう。印鑑の文字は彫る前に出来上がりのデザインを正確に決め仕上げる、
落款は文字も自由に変形して、彫りながら形を作り仕上げていく楽しみがあるそう。
ハンコには決まった文字があるのかと思っていた私。
アレンジして自由にデザインした個性的なものだということに驚きました。
自分の印鑑ももう一度見てみよう。
※この記事は2014年1月に公開しました
『印の大曽堂』
所在地:浜松市北区三ヶ日町三ヶ日327
TEL:053-525-0756
定休日:日曜日
営業時間:8:00~20:00